静岡マンドリン愛好会

　ありがたいお話であるから正座して読むよ～に

新編３　抽選力

　“きてこ”の抽選に行く。抽選結果は３７人中３２番だった。私は籤運が悪いことには絶対の自信があり、今回も順当な抽選結果であった。前回（半年前）は３８人中３８番だったから、それと比べれば、今日の籤運はかなりよくなっている。
　とはいえ、予定していた練習日・場所を先取りされた週があって、練習予定日が１日取れなかったことは残念である。３２番の札で、取れなかった日が１日なら、その結果は奇跡的にいいともいえるが、一週練習が休みになれば、会員から「抽選者の努力が足りない」「真面目に抽選したのか」という非難の声が高まる恐れがある。いくら本人が「私の籤運は少し良くなって、取れない日は一日で済んだ」と自己弁護しても、完全無欠を求めるのは世の常である。（原発事故の管総理への対応批判を見ればわかる）
　私からすれば、「私が抽選に行けば、こうなることは予測できる。いい結果を求めるなら、もっと籤運の強い人間が抽選に行くべきだ」と言いたいところだが、抽選に行くことのできる人材に四苦八苦している幹事長の立場を慮れば、こんな結果になったことに会員のお許しを乞うしかない。
　私としても、籤運がよくなりたいと“強く”願っている。（特にジャンボ宝籤を買う時）しかし、悲しいことに、その願いがほとんど無視されていてる。どうしたら籤運力を強化できるのか。
①　いつもニコニコ笑う
　笑う門にはラッキーカムカム、というから、常に笑うことを心掛ける。私は性格的には極楽とんぼの気味があり、周囲のことは気にせずニコニコ笑っていることはさほど難しくはない。
　しかし、男が極楽とんぼでいると「もっと清潔に」とか「もっとビシッとして」と要求する声が高まる。それでもニコニコしようとすると、「私をバカにするの」とさらに追及され、ニコニコ顔が引きつることになる。
　私が愛好会で貧相な印象を与えるのは、世の中のいろいろな桎梏や確執に悩まされているからと理解してほしい。
②　籤運の強い人から運気をもらう
　ローマの元老スッラは、多くの政敵を倒してローマの独裁官（ディクタートル）となった。本人は「私はただ幸運なだけ」と言って「フェリクス」（幸運な者）と自称していた。
　彼が格闘士の催しに出かけた時、一人の若い女性が後ろを通り、スッラの外套から糸くずをむしり取っていった。スッラが問い詰めると「私はあなたの幸運を少し分けていただきたいのです」と答えた。ちなみに、スッラは、その後この女性を妻にしている。
　私も強運の人間が近くにいたら、その人の袖にすがって幸運を分けてもらおうと考えている。しかし、私の周囲は貪欲な人間ばかりで、かえって私の乏しい幸運をむしり取っているありさまだ。
③　願掛けをする
　日本では、何かの運をもらいたいとき、神様に願掛けをした。その代償として「酒断ち」「塩断ち」「菓子断ち」など、自分の好きなことを願いがかなうまで絶つということをした。
　はたして、神様は取引をするのか、願掛けの代償が十分か、といろいろ疑問はあるが、昔はそれなりの効果があったに違いない。それは願掛けをする人がそれほど必死だったからだろう。
私はそれほどしてまで…という思いがある。私が願うのは「棚から牡丹餅」「濡れ手で粟」である。神様がそんなに甘いとは考えられない。抽選力の強化は難しい。

漢字の読み方
慮る　おもんばかる
桎梏　しっこく
確執　かくしつ
貪欲　どんよく
牡丹餅　ぼたもち