2014年05月22日
高橋長老の御教書 新編42
ありがたいお話であるから正座して読むよ~に
新編42 おみやげ(2)
練習が終わり、ホールの後片づけも一段落したので、持ってきた箱を取り出す。箱の中には50個ほどのやや小ぶりな球形のチョコレートが入っている。これを談笑している会員に差し出した。
「おひとつどうぞ」
「えっ、おいしそう!ありがとうございま~す」
「どこかへいらっしたんですか」
「ドイツに」
「いいなあ~。もうひとつ貰っていいですか」とイケメンの男の子。
「ちょっと待って。みんなに分けて余ったらあげるよ」
数からいえば余りそうだが、初めから2つずつにするとちょっと危ない。
他のグループにも差し出す。
「おひとつどうぞ」
「お土産ですか。どこへお出でになったんですか」
「ドイツのミュンヘンへ」
「前にも行ってましたね。今回は何を聞いたんですか」
「プッチーニのラ・ボエームを」
「どうでした。良かったですか」
「まあね。でも、ラ・ボエームは地味なオペラだからね…」と言葉を濁す。途中で眠くなったとはちょっと言いにくい。
「もうひとつ貰っていいですか」と可愛いお嬢さんたち。
「う~ん。まあいいか。どうぞ」
「やったあ~」
先ほどは男だったが、可愛いお嬢さんには弱いのだ。また別のグループに持っていく。
「おひとつどうぞ」
「あっ、ありがとう。どこのお土産ですか」
「ミュンヘンの」
「私も行ってみたいわ。何時行ったんですか」
「連休の間に。だからバーベキューには参加できなかったんだ」
「長老はもう何度もドイツに行ってますね」
「うん、この時期になると娘が「行こうよ」って誘ってくれるんだ」
「いい娘さんじゃないですか」
「うん。持つべきはいい娘さ」
「もうひとつ貰っていいですか」とベテランの女性たち。
「う…うん。どうぞ」
とても断れない。断ると後が怖い。
「おひとつどうぞ」とまた別のグループへ。
「おっ、すまんな。またドイツかい」
「まあね」
「うまいな。もうひとつ貰うよ」
「えっ、あっ!」もう止める暇もない。
「あっ、あたし、まだ貰ってない」
「無くならないうちに貰って」
「もうひとついいかしら」
こうなったら、もう断れない。
「まだ、残ってますね」とイケメン男子。
「あたしも、もうひとつ貰っていいかしら」とベテラン女子。
「あたし、3つめだけどいいかしら」と可愛いお嬢さん。
好きなだけ持ってけ!
ふと見ると、奇跡的にひとつだけチョコが残っている。大急ぎで口の中に放り込んだ。
新編42 おみやげ(2)
練習が終わり、ホールの後片づけも一段落したので、持ってきた箱を取り出す。箱の中には50個ほどのやや小ぶりな球形のチョコレートが入っている。これを談笑している会員に差し出した。
「おひとつどうぞ」
「えっ、おいしそう!ありがとうございま~す」
「どこかへいらっしたんですか」
「ドイツに」
「いいなあ~。もうひとつ貰っていいですか」とイケメンの男の子。
「ちょっと待って。みんなに分けて余ったらあげるよ」
数からいえば余りそうだが、初めから2つずつにするとちょっと危ない。
他のグループにも差し出す。
「おひとつどうぞ」
「お土産ですか。どこへお出でになったんですか」
「ドイツのミュンヘンへ」
「前にも行ってましたね。今回は何を聞いたんですか」
「プッチーニのラ・ボエームを」
「どうでした。良かったですか」
「まあね。でも、ラ・ボエームは地味なオペラだからね…」と言葉を濁す。途中で眠くなったとはちょっと言いにくい。
「もうひとつ貰っていいですか」と可愛いお嬢さんたち。
「う~ん。まあいいか。どうぞ」
「やったあ~」
先ほどは男だったが、可愛いお嬢さんには弱いのだ。また別のグループに持っていく。
「おひとつどうぞ」
「あっ、ありがとう。どこのお土産ですか」
「ミュンヘンの」
「私も行ってみたいわ。何時行ったんですか」
「連休の間に。だからバーベキューには参加できなかったんだ」
「長老はもう何度もドイツに行ってますね」
「うん、この時期になると娘が「行こうよ」って誘ってくれるんだ」
「いい娘さんじゃないですか」
「うん。持つべきはいい娘さ」
「もうひとつ貰っていいですか」とベテランの女性たち。
「う…うん。どうぞ」
とても断れない。断ると後が怖い。
「おひとつどうぞ」とまた別のグループへ。
「おっ、すまんな。またドイツかい」
「まあね」
「うまいな。もうひとつ貰うよ」
「えっ、あっ!」もう止める暇もない。
「あっ、あたし、まだ貰ってない」
「無くならないうちに貰って」
「もうひとついいかしら」
こうなったら、もう断れない。
「まだ、残ってますね」とイケメン男子。
「あたしも、もうひとつ貰っていいかしら」とベテラン女子。
「あたし、3つめだけどいいかしら」と可愛いお嬢さん。
好きなだけ持ってけ!
ふと見ると、奇跡的にひとつだけチョコが残っている。大急ぎで口の中に放り込んだ。