2012年10月17日

高橋長老の御教書 新編12

           ありがたいお話であるから正座して読むよ~に

新編12 ギターパート紹介

 パートリーダーのN倉君からプログラムに使うギターパートの紹介分を頼まれた。さっそく次のような文章を考えた
「ギターはマンドリンオーケストラの仲間に入ってはいますが、どうも影が薄い存在です。そもそも音が低いうえに柔らかな音なので、高音できつい音のマンドリンの陰に隠れてしまいます。ギターの役割とは、きつすぎるマンドリンの突っ込みを、後ろで支えてまろやかにするボケ役というところでしょうか。まるでカカア天下の妻の尻に敷かれている夫みたいなものです。
愛好会のギターは、少人数です。先月までは、たったの4人でした。原因はよくわかりませんが、メンバーが中年のむさくるしい男ばかりだったので、若者や乙女たちが仲間に入るのを躊躇していたのかもしれません。
 ところが、なんとこのたび妙齢の女性がギターパートに加入してくれたのです!えらい!日本の女性の中にも見る目のある人がいるのです。勇気のある女性がいたのです。これで私たちは自信を持てます。我々は決して掃き溜めのゴミではなかったと。」

 できたものをメンバーに見せると、「ちょっと論旨がおかしい」と言われた。
「我々の仲間に女性が入ったら、それこそ掃き溜めの中の鶴で、我々はゴミだということになるんじゃないか」
「いや、彼女は我々がゴミじゃないと思ったらこそ、仲間に入ってくれたんだ。掃き溜めの中にあえて舞い降りる鶴なんかいないよ」
「でも、それは俺たちの勝手な思い込みで、他のパートはどう思っているのかな。やはり掃き溜めの中の鶴と思っているんじゃないか」
 そういわれると、私も自信がなくなった。むむ、確かにはた目から見たらそうかもしれない。ちょっと他のパートの意見を聞いてみよう。
「ギターパートの女性は、掃き溜めの中の鶴だと言う人がいるけど、今までギターパートは掃き溜めみたいだったのかな」
「いえ、そんなことはありません。ギターパートの男性は、みんな素敵な方ばかりじゃないですか。掃き溜めなんて失礼です」
 お世辞半分と思ってもうれしい。礼儀正しい愛好会の会員は、たとえ心の中では「指名手配犯だ、類人猿だ」と思っていても、決して口に出しては言わないのだ。仲間をかばう麗しい心根を持っていると信じたい。
 確かに上掲の紹介文は、読み方によっては、ギターパートの男どもは、掃き溜めのゴミとも読み取れる。しかし、私はあえて紹介文は訂正しないことにした。論旨に矛盾がある方が、味わいがある。読んだ人が「何か変だ」と感じてくれれば、おのずとそこに可笑しみが生まれてくる。幼稚な文章だと思われても、すなおに受け入れるつもりである。
 なお、会員諸氏もご承知の通り、今回の定演にはかねて休部中だったイケメンのA木君が参加してくれることになった。これでギターパートはごみ溜めではないことが明確になった。(ゴミが二つ三つ散らかっているかもしれないが)

漢字の読み方
躊躇  ちゅうちょ
  


Posted by 静岡マンドリン愛好会 at 21:58Comments(0)高橋長老の御教書

2012年10月04日

高橋長老の御教書 新編11

            ありがたいお話であるから正座して読むよ~に

新編11 きてこ抽選再び

 再び“きてこ”の抽選に行くことになった。4か月ぶりの抽選である。この間、私は抽選力の向上に努めてきた。努力の第一はニコニコ笑うことである。幸い娘が孫を連れて我が家に来ていたので、笑い顔の鍛錬には事欠かなかった。ニヒルな顔つきをしていると「赤ちゃんが泣いてしまうでしょ」という叱声が飛んでくるからである。
 第二の努力、籤運の強い人にタッチすることはちょっと難しい。さりげなく近づこうとしても、蛇蝎を見るようなまなざしで睨まれると、とてもタッチする勇気が出ない。特に若い女性に、この傾向が強いようだ。
 第三の努力、願掛けは特にしなかった。不惑を過ぎ、天命を知ると「人生、無理な願いは不幸の元」という真理を悟るからである。行雲流水、人生あるがまま、待てば日和、残りものに福、棚から牡丹餅、という心境といってもいい。それに、なんといっても面倒なことは嫌いなのだ。横着と言われることもある。
 つまりニコニコ笑う努力しかできなかったが、それでも継続して努力してきたことを評価してほしい。努力が足りないと言われるのは心外である。
 いよいよ抽選となった。抽選に参加する団体は40団体である。状況は前回よりも厳しい。さらなる抽選力アップの努力が必要のようだ。どんなことができるのか。
 抽選会場で座る席は、いつもは左か右で中央は避けてきた。真ん中の列は、説明の係員から圧力を受ける感じが怖いのである。(小心者なので)しかし、今日は勇を振るって、いつもとは違う行動により現状を打破することにする。
 係の説明が終わって、いよいよ札取である。いつもは端っこの札を取るのだが(小心者なので)、今回は中央寄りの札を取る。これも当然抽選力を上げるための努力である。抽選力をアップするために、これだけの努力をしていることをわかってもらえるだろうか。
 数字を見るとなんと6!! やった!これほどまでに努力の結果が出るとは思わなかった。前回の32番と比べてほしい。この結果を見れば、会員諸氏も私の努力の結果を認めざるを得ないはずだ。浮き浮きしながら順番を待つ。
 借受の手続きが進んで「6番札の方、おいで下さい」という声に、勇躍前に進み番号札を出した。すると、係員がしげしげと札を眺め、そして不審そうな顔つきで言う。
「これは9番ですね」
「え!! 9番ですか」(ドッと背中に冷水3斗!)
「そう、こちらが上ですから、9番です」
 冷ややかな係員の声に、さげすみの色がにじんでいるように聞こえる。とんだ恥をかいてしまった。恥ずかしさに顔を伏せて、すごすごと席に戻る。
 隣の人が「私も前に間違えたのよ」と慰めてくれたが、恥ずかしさが消えるわけではない。
「どちらが上なのか、はっきり印を付ければ間違えないのにね」
「振り仮名を付ければいいのよ」といろいろ同情される。「とげのないバラはない」というが、完全な幸運はあり得ないのだ。それでも9番だから、問題なく練習日をゲットできたのは喜ばしい。
 今回のように、努力によって抽選力が強化できたとはいうものの、もっと重要な事柄(ジャンボ宝くじなど)ではたしてどの程度効果が出るのか。大きなものには縁のない幸運と達観しておくのがよさそうだ。

漢字の読み方
蛇蝎  だかつ
  


Posted by 静岡マンドリン愛好会 at 20:10Comments(0)高橋長老の御教書