2014年09月05日

高橋長老の御教書 新編46

             ありがたいお話であるから正座して読むよ~に

新編46 旧友再会

 今回の定演は、第40回の記念演奏会ということで、かつて我々と一緒に演奏した仲間に参加を呼びかけた。過日行われたOB参加練習には、呼びかけに応じて懐かしい顔が何人か参加してくれた。ギターパートに来てくれたのは、ネオナートマンドリンのМ村さんで,10余年ぶりの再会となる。まさに旧友再会。
 旧友と再会して、その心情を歌った詩といえば、杜甫の「江南にて李亀年に逢う」を思い出す。

岐王の宅裏にて尋常に見し   あの頃、岐王様のサロンではしょっちゅう逢っていたね
崔九の堂前にて幾度か聞きし  崔九様の園遊会では何度も君のテノールを聞いたよ
正に是江南の好風景      今、ここは都を遠く離れた江南の好風景
落花の時節 又君に逢う    リラの花散る宵の宴に、又君の歌声を聞けるとは

 今回の再会を、杜甫風に当てはめると
あの頃、愛好会のギターパートは僕と君の2人きりだった。
演奏会ではいつも君の名人芸に感嘆したものだった。
あれから10余年、愛好会の会員はその頃の三倍に大きくなった。
今、AOIの華麗なホールで、又君と一緒にギターを弾くことができるとは。
 という感慨が浮かんでくる。

 旧友再会の歌といえば、吉田拓郎の「旧友再会フォーエバーヤング」も世に知られた名曲だろう。

結婚して10年になり、子供に追われる暮らしの中で
男の夢だけは捨てきれません。
目の前のマッターホルンがまだなのです。
ずいぶん歩いてきたようで、夢につまづいた日々に追われる フォーエバーヤング

 この歌は、友との再会の喜びを歌うというより、相手に自分の愚痴を言っている内容に聞こえる。まあ、マッターホルンの夢を放棄してしまった凡人のわが身にとっては、こちらの方が身につまされる内容ではある。
 10余年前、М村さんは結婚して愛好会の練習には足が遠のいてしまった。お目出度いことだからこれもやむを得ない。今回、2人のお子様の子育ても一段落して、OBとして参加する余裕ができたようだ。(マッターホルンにも登頂したに違いない。)
 ギターの腕は相変わらず健在で、練習時のギターの音は、私のギターの3倍はある。小柄な体からどうしてこんなパワーが出るのだろう。やっぱり彼にはかなわない。
 とはいえ、10余年の歳月を経ると、彼も昔のような若者のままではいられない。彼の頭のてっぺんをチラリと見た時、なんとなく「勝った」と感じてしまった。理由はないけれど…。

漢字の読み方
李亀年  りきねん   玄宗皇帝にも気に入られた当時の人気歌手
岐王   きおう    唐王朝の親王家の一つ
崔九   さいきゅう  当時の貴族の一人
江南   こうなん   杜甫も李亀年も安禄山の乱を逃れて長安を脱出し、長い放浪の末、思いがけなく江南で再会する。


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Posted by 静岡マンドリン愛好会 at 20:19│Comments(0)高橋長老の御教書
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