2012年07月12日
高橋長老の御教書 新編5
ありがたいお話であるから正座して読むよ~に
新編5 定演参加費
定例の練習に行くと、「長老、定演参加費を払ってください」と会計役から迫られた。そういえば、何日か前、定演参加費をどうのこうのというメールが来ていたような気がする。
「定演参加費は、もうとっくに支払ったよ」
「え、まだもらっていませんけど」
「確か、支払った覚えがあるんだけどな~」
「いつ払ってくれたんですか」
「え~と、去年の9月頃だと思う」
「それは、去年の定演参加費でしょう。今年の分はまだです」
「えっ、参加費は毎年支払うの。そうだったかな」
「忘れっぽくなった振りをするのはやめてください。いままでも毎年出していたでしょう」
「そういわれると、なんとなくそんな気もする。でも、ほんとにまだ支払ってないの。もう一度納入者を確認してもらえないかな。君が忘れている可能性もあるし…」
「私のメモには、支払ってもらった人の名前と、日にちと、金額が書いてあります。合計金額と手持ち現金も一致しています。間違いはありません」
「そうか、女性は金銭に細か…いや、正確なんだな。以前の会計はどんぶり勘定だったけど」
「その時は、ごまかしたんですか」
「なんて失礼なことを。私はいつもちゃんと支払っているよ。ただ、支払いがちょっと遅れただけさ」
「支払いが遅れるのはいつもの事なんですね」
「そんなに決めつけることはないだろう。余裕がある時はすぐに払っているよ」
「いつごろ余裕ができるんですか」
「そういわれると困るな~。懐具合は個人情報だから人には言えないことはわかるよね」
「支払いが遅れているのは、余裕がないからなんですね」
「人の恥になるようなことを、あからさまに言わないでくれ。日本には、遠まわしに言うとか、たとえ話とか、ほのめかしとか、惻隠の情を示す温かい伝統があるだろう」
「わかりました。長老は尊敬していますから、余裕ができるまでお待ちします」
ありがたい言葉をいただいたが、年金生活者には1万円は大きな金額だ。今月は合宿もある。すみません。もうちょっと待ってください。
(以上の会話は、こんな会話があったら楽しいな、と思って創作したもので、まったくのフィクションです。)
漢字の読み方
懐具合 ふところぐあい
惻隠の情 そくいんのじょう
新編5 定演参加費
定例の練習に行くと、「長老、定演参加費を払ってください」と会計役から迫られた。そういえば、何日か前、定演参加費をどうのこうのというメールが来ていたような気がする。
「定演参加費は、もうとっくに支払ったよ」
「え、まだもらっていませんけど」
「確か、支払った覚えがあるんだけどな~」
「いつ払ってくれたんですか」
「え~と、去年の9月頃だと思う」
「それは、去年の定演参加費でしょう。今年の分はまだです」
「えっ、参加費は毎年支払うの。そうだったかな」
「忘れっぽくなった振りをするのはやめてください。いままでも毎年出していたでしょう」
「そういわれると、なんとなくそんな気もする。でも、ほんとにまだ支払ってないの。もう一度納入者を確認してもらえないかな。君が忘れている可能性もあるし…」
「私のメモには、支払ってもらった人の名前と、日にちと、金額が書いてあります。合計金額と手持ち現金も一致しています。間違いはありません」
「そうか、女性は金銭に細か…いや、正確なんだな。以前の会計はどんぶり勘定だったけど」
「その時は、ごまかしたんですか」
「なんて失礼なことを。私はいつもちゃんと支払っているよ。ただ、支払いがちょっと遅れただけさ」
「支払いが遅れるのはいつもの事なんですね」
「そんなに決めつけることはないだろう。余裕がある時はすぐに払っているよ」
「いつごろ余裕ができるんですか」
「そういわれると困るな~。懐具合は個人情報だから人には言えないことはわかるよね」
「支払いが遅れているのは、余裕がないからなんですね」
「人の恥になるようなことを、あからさまに言わないでくれ。日本には、遠まわしに言うとか、たとえ話とか、ほのめかしとか、惻隠の情を示す温かい伝統があるだろう」
「わかりました。長老は尊敬していますから、余裕ができるまでお待ちします」
ありがたい言葉をいただいたが、年金生活者には1万円は大きな金額だ。今月は合宿もある。すみません。もうちょっと待ってください。
(以上の会話は、こんな会話があったら楽しいな、と思って創作したもので、まったくのフィクションです。)
漢字の読み方
懐具合 ふところぐあい
惻隠の情 そくいんのじょう