2012年10月04日

高橋長老の御教書 新編11

            ありがたいお話であるから正座して読むよ~に

新編11 きてこ抽選再び

 再び“きてこ”の抽選に行くことになった。4か月ぶりの抽選である。この間、私は抽選力の向上に努めてきた。努力の第一はニコニコ笑うことである。幸い娘が孫を連れて我が家に来ていたので、笑い顔の鍛錬には事欠かなかった。ニヒルな顔つきをしていると「赤ちゃんが泣いてしまうでしょ」という叱声が飛んでくるからである。
 第二の努力、籤運の強い人にタッチすることはちょっと難しい。さりげなく近づこうとしても、蛇蝎を見るようなまなざしで睨まれると、とてもタッチする勇気が出ない。特に若い女性に、この傾向が強いようだ。
 第三の努力、願掛けは特にしなかった。不惑を過ぎ、天命を知ると「人生、無理な願いは不幸の元」という真理を悟るからである。行雲流水、人生あるがまま、待てば日和、残りものに福、棚から牡丹餅、という心境といってもいい。それに、なんといっても面倒なことは嫌いなのだ。横着と言われることもある。
 つまりニコニコ笑う努力しかできなかったが、それでも継続して努力してきたことを評価してほしい。努力が足りないと言われるのは心外である。
 いよいよ抽選となった。抽選に参加する団体は40団体である。状況は前回よりも厳しい。さらなる抽選力アップの努力が必要のようだ。どんなことができるのか。
 抽選会場で座る席は、いつもは左か右で中央は避けてきた。真ん中の列は、説明の係員から圧力を受ける感じが怖いのである。(小心者なので)しかし、今日は勇を振るって、いつもとは違う行動により現状を打破することにする。
 係の説明が終わって、いよいよ札取である。いつもは端っこの札を取るのだが(小心者なので)、今回は中央寄りの札を取る。これも当然抽選力を上げるための努力である。抽選力をアップするために、これだけの努力をしていることをわかってもらえるだろうか。
 数字を見るとなんと6!! やった!これほどまでに努力の結果が出るとは思わなかった。前回の32番と比べてほしい。この結果を見れば、会員諸氏も私の努力の結果を認めざるを得ないはずだ。浮き浮きしながら順番を待つ。
 借受の手続きが進んで「6番札の方、おいで下さい」という声に、勇躍前に進み番号札を出した。すると、係員がしげしげと札を眺め、そして不審そうな顔つきで言う。
「これは9番ですね」
「え!! 9番ですか」(ドッと背中に冷水3斗!)
「そう、こちらが上ですから、9番です」
 冷ややかな係員の声に、さげすみの色がにじんでいるように聞こえる。とんだ恥をかいてしまった。恥ずかしさに顔を伏せて、すごすごと席に戻る。
 隣の人が「私も前に間違えたのよ」と慰めてくれたが、恥ずかしさが消えるわけではない。
「どちらが上なのか、はっきり印を付ければ間違えないのにね」
「振り仮名を付ければいいのよ」といろいろ同情される。「とげのないバラはない」というが、完全な幸運はあり得ないのだ。それでも9番だから、問題なく練習日をゲットできたのは喜ばしい。
 今回のように、努力によって抽選力が強化できたとはいうものの、もっと重要な事柄(ジャンボ宝くじなど)ではたしてどの程度効果が出るのか。大きなものには縁のない幸運と達観しておくのがよさそうだ。

漢字の読み方
蛇蝎  だかつ
  


Posted by 静岡マンドリン愛好会 at 20:10Comments(0)高橋長老の御教書