2013年04月26日
高橋長老の御教書 新編22
ありがたいお話であるから正座して読むよ~に
新編22 楽器紹介
え~、一曲終わったところで、私たちが持っている楽器を紹介したいと思います。
まず、最初はマンドリンです。マンドリンという楽器を初めて見た方もいらっしゃると思いますが、音は先ほど聞いていただいたように、チリチリという可愛い音がします。見ての通り、ラッキョウ型をした小さい楽器です。
マンドリンは音域が高く、華やかな音色なので、楽団の中で一番の花形役者です。演奏では、このマンドリンが旋律を受け持つので、必然的に他の楽器を仕切ることになり、その結果、楽団の中で一番威張ることになります。いわば、百獣の王ライオンのごとき存在と言えます。
威張るとはいえ、威張り方にも二種類ありまして、一番威張る人の後ろに居て、威張る者もいるのです。例えれば、ライオンの後ろにくっついて行くキツネみたいなものです。私たちの楽団では、ライオン役をファースト、キツネ役をセカンドと呼んでいます。
ライオン役をやっている人は、将来「嬶天下」の奥さんになる危惧もありますが、現実には、ご覧のとおり心優しいお姉さま方ばかりです。
次に、マンドリンより少し大きな楽器が、マンドラという楽器です。音色は、人間の声に近いので、落ち着いた感じがします。マンドラはマンドリンを引き立てる役割をしますが、時には旋律も受け持ちます。遊んでばかりいて、気が向くと目立とうとするというところは、道楽者、お調子者と言うところでしょうか。ちなみに、マンドラ奏者は、自分たちを「ドラ娘」「ドラ男」と自称しています。
マンドラは、ファーストほど難しくはなく、時においしい所もあるというので、楽をしたがる人に人気があります。中には、マンドリンでは役に立たない人が、マンドラに変わることがあります。これを「ドラ落ち」と言います。しかし、これを自覚しているマンドラ奏者は一人もいません。よく言えば前向きな人が多いということです。
次に、かなり大きな楽器ですが、マンドロンチェロと言います。音域は、普通のチェロと同じで、低い音で音楽の幅を広げる役割をしています。チェロが入ると、音楽が非常に落ち着いた感じになり、聞く人に心地よい効果を発揮します。音が低いので目立ちませんが、いわば、縁の下の力持ちと言うところです。
私たちの楽団では、チェロの奏者が、幹事長や指揮者という重要な役割を受け持つ人を輩出しています。会の運営でも縁の下の力持ちの役割を受け持っているわけで、本来なら地味なチェロの立場を強くしています。
チェロを弾く人は、「とにかく低い音が好きなんだ」と言いますが、中にはマンドリンでもドラでも役に立たないので、「チェロ落ち」した人もいるようです。(もちろん自分では決して認めません)しかし、チェロの奏者は少ないので、時にマンドリンからコンバートされることもあります。自分から「チェロに行きたい」と言ったわけではないので、これは「チェロ落ち」とは言いません。
最後に、皆さんおなじみのギターです。ギターは、250年くらい前までは、バイオリンやマンドリンの伴奏楽器として熱愛されてきました。その後、ピアノが発明されてバイオリンからはあっさり捨てられてしまいましたが、どういうわけかマンドリンはギターと離れようとしませんでした。先に紹介したマンドロンチェロはギターと同じ音域の楽器で、チェロが発明されてギターは不要になったはずですが、それでもギターを離しません。いわばギターは、マンドリンの熱烈な愛人という立場なのです。ギターの低く甘い音色は、聞く人の心をとろけさせてしまいますが、マンドリンの心もしびれさせているのです。
ギターの奏者は、女心を鷲づかみするような、少し憂いのある貴公子のような人がイメージされますが、こういった人はごく少数で、実際には類人猿の仲間のような人が多いのは残念なことです。しかし、今日ここにいるギター奏者は、少数派に属しています。
以上で、楽器の紹介を終わりますが、マンドリン合奏の一つ一つの音を、こうした性格を理解して聞くと、また違った趣が出てきます。今日は、皆さんと楽しい音楽会にしたいと思います。
漢字の読み方
嬶天下 かかあてんか
趣 おもむき
新編22 楽器紹介
え~、一曲終わったところで、私たちが持っている楽器を紹介したいと思います。
まず、最初はマンドリンです。マンドリンという楽器を初めて見た方もいらっしゃると思いますが、音は先ほど聞いていただいたように、チリチリという可愛い音がします。見ての通り、ラッキョウ型をした小さい楽器です。
マンドリンは音域が高く、華やかな音色なので、楽団の中で一番の花形役者です。演奏では、このマンドリンが旋律を受け持つので、必然的に他の楽器を仕切ることになり、その結果、楽団の中で一番威張ることになります。いわば、百獣の王ライオンのごとき存在と言えます。
威張るとはいえ、威張り方にも二種類ありまして、一番威張る人の後ろに居て、威張る者もいるのです。例えれば、ライオンの後ろにくっついて行くキツネみたいなものです。私たちの楽団では、ライオン役をファースト、キツネ役をセカンドと呼んでいます。
ライオン役をやっている人は、将来「嬶天下」の奥さんになる危惧もありますが、現実には、ご覧のとおり心優しいお姉さま方ばかりです。
次に、マンドリンより少し大きな楽器が、マンドラという楽器です。音色は、人間の声に近いので、落ち着いた感じがします。マンドラはマンドリンを引き立てる役割をしますが、時には旋律も受け持ちます。遊んでばかりいて、気が向くと目立とうとするというところは、道楽者、お調子者と言うところでしょうか。ちなみに、マンドラ奏者は、自分たちを「ドラ娘」「ドラ男」と自称しています。
マンドラは、ファーストほど難しくはなく、時においしい所もあるというので、楽をしたがる人に人気があります。中には、マンドリンでは役に立たない人が、マンドラに変わることがあります。これを「ドラ落ち」と言います。しかし、これを自覚しているマンドラ奏者は一人もいません。よく言えば前向きな人が多いということです。
次に、かなり大きな楽器ですが、マンドロンチェロと言います。音域は、普通のチェロと同じで、低い音で音楽の幅を広げる役割をしています。チェロが入ると、音楽が非常に落ち着いた感じになり、聞く人に心地よい効果を発揮します。音が低いので目立ちませんが、いわば、縁の下の力持ちと言うところです。
私たちの楽団では、チェロの奏者が、幹事長や指揮者という重要な役割を受け持つ人を輩出しています。会の運営でも縁の下の力持ちの役割を受け持っているわけで、本来なら地味なチェロの立場を強くしています。
チェロを弾く人は、「とにかく低い音が好きなんだ」と言いますが、中にはマンドリンでもドラでも役に立たないので、「チェロ落ち」した人もいるようです。(もちろん自分では決して認めません)しかし、チェロの奏者は少ないので、時にマンドリンからコンバートされることもあります。自分から「チェロに行きたい」と言ったわけではないので、これは「チェロ落ち」とは言いません。
最後に、皆さんおなじみのギターです。ギターは、250年くらい前までは、バイオリンやマンドリンの伴奏楽器として熱愛されてきました。その後、ピアノが発明されてバイオリンからはあっさり捨てられてしまいましたが、どういうわけかマンドリンはギターと離れようとしませんでした。先に紹介したマンドロンチェロはギターと同じ音域の楽器で、チェロが発明されてギターは不要になったはずですが、それでもギターを離しません。いわばギターは、マンドリンの熱烈な愛人という立場なのです。ギターの低く甘い音色は、聞く人の心をとろけさせてしまいますが、マンドリンの心もしびれさせているのです。
ギターの奏者は、女心を鷲づかみするような、少し憂いのある貴公子のような人がイメージされますが、こういった人はごく少数で、実際には類人猿の仲間のような人が多いのは残念なことです。しかし、今日ここにいるギター奏者は、少数派に属しています。
以上で、楽器の紹介を終わりますが、マンドリン合奏の一つ一つの音を、こうした性格を理解して聞くと、また違った趣が出てきます。今日は、皆さんと楽しい音楽会にしたいと思います。
漢字の読み方
嬶天下 かかあてんか
趣 おもむき